※質問をクリックしていただくと、答えが表示されます。
能楽について
- 能って何?
- 600年くらい前から演じられてきた日本の歌劇。
日本版オペラのようなものです。
- ポピュラーな曲は?
- 結婚式の『高砂(たかさご)』・出世物語の『鉢ノ木(はちのき)』・可哀想な物語の『隅田川(すみだがわ)』・安珍清姫の『道成寺(どうじょうじ)』・弁慶と源義経の出会いである『橋弁慶』などがあります。
- 能って、あのしずしずと踊るの?
-
そうです。でも踊るとは言わないのです。「舞う」と言います。色々な種類があって「しずしず」だけではないのです。
①「スカッとさわやか」を狙ったビート感OKの能(ビートたけしを唸らせた)『高砂』等
②豪快な戦いの能 『八島、田村』等
③幽玄の世界の能 『羽衣、井筒』等
④表現豊かに舞い狂う能 『隅田川、道成寺、百万』等
⑤怪獣映画もかなわない大活劇能 『鞍馬天狗、土蜘蛛、自然居士』等五種類に分けられています。序破急に並べてあります。
能は人間の根元的な事を題材的に作ってあります。その中でも③のものは女性をあつかった能で、全身で観る事になるので疲れます。
ですから、能は初めてとおっしゃる方は、まず①②のスカッとから見始めて③を観て疲れて④⑤で方をほぐすというコースがお勧めです。
- 能の歴史を教えて
- 今の能が職業劇団「座」として組織されたのは鎌倉時代1200年代です。
平和と作物が豊かに実るようにと祈願する能「翁(おきな)」が主流で寸劇のようなものも演じられていました。
“座”の中でも「翁」を演ずる人達を“上座”、寸劇の人達を“下座”と呼んでいました。
リーダーは上座の長老。室町時代1300年初め頃には、寸劇は急激に発達して“座”の主流となりました。下座のリーダーが今の家元の始まりです。
その後、時代の権力者に愛好されました。織田信長、豊臣秀吉、徳川幕府。徳川幕府は、能を幕府の公式芸能、つまり「式楽」にしました。朝廷の雅楽のようなものです。
現在は、能が始まって以来一番盛んで、東京だけでも国立能楽堂を始めとして、各流の能楽堂が12カ所くらいあります。
毎年の上演数は、約60公演を超えています。
金剛流について
- 金剛流って何?
-
鎌倉時代(1200年代)に起こった大和猿楽四座の1つで坂戸座と言い、法隆寺に所属していました。室町時代(1300年代末)に
新リーダー家元が出来ました。初代金剛孫太郎氏勝。
四座とも現在まで続いています。現在では、それぞれが何々流と言います。
奈良の龍田神社境内に発祥の地の碑があり、毎年2月に先祖祭が行われています。
五流のうち金剛流だけ本処が京都です。
古い歴史に裏打ちされた雅さが金剛の能に加わったと定評があります。
- 金剛流の特徴は?
-
「舞金剛」と言われ、定評があります。
流麗(りゅうれい)・躍動感にあふれ、現代的です。
能で使用する面(おもて)は逸品揃いで、「面金剛」と言われています。
歴代の家元は面に明るく、特に四代前の金剛謹之助は、
明治維新の混乱期に面の流外流出を防いだことで著名です。
配役について
- シテ・ワキ・ツレ・ワキツレ
【シテ】
仕手と書いて仕る人の意味で、即ち演技者のことを指します。
一曲の中心になる人物で、主人公の役割です。
能ではシテが最も重要な役とされていて、シテが中心となって筋が進行して行きます。
能は、その大部分は前後二場面に分かれています。
そして主役であるシテは、曲の途中で一度退場し(これを、中入という)、扮装を変えて再び登場します。このような場合、前場に出るシテを前シテ、後場に出るシテを後(のち)シテと言います。
前シテも後シテも原則として同一人物が演じます。【ワキ】
昔は脇の仕手とも言われました。
舞台の脇にあってシテと演技をする役です。
能はシテ中心主義の強いものであるため、ワキはシテと対立する程のオーバーな演技をしない事が建前となっています。いわば、引き立て役といえます。
ところが、曲によってはワキが多彩な演技をして、稀にシテ以上に主役的な演技をするものもあります。
例えば、「土蜘蛛」「羅生門」がそうです。【ツレ(シテツレ)】
ツレは完全な助演者として、シテに連なって登場しシテの演技を助けます。
曲によっては、シテと別個に登場する場合もあります。
その中にはとても重要な役柄もあり、 場合によってはシテと同格であったりします。
このような重要な役のツレは、ときおり、シテと同格に昇進させて
「両シテ」と扱われることがあります。シテやワキとは違い、ツレは一曲に数人出演する場合もあります。
この場合、役柄の混同を避けるため、役の固有名詞を使う場合があります。
例えば「土蜘蛛」では、ツレが三人います。
それぞれ、頼光、胡蝶、トモ、というように表記します。【ワキツレ】
ワキの同伴者としてその演技を助けます。
一人の場合もあれば数人の場合もあります。
- 子方って子供?
はい。子供が演じます。
役柄が少年や少女のものは、シテ方の少年が演じるということが基本です。
最近では、シテ方の少年という決まりはなく、女の子も多いです。
子方の分類は、ツレの一種として考えてください。役柄は、必ずしも少年や少女とは限りません。
例えば「船弁慶」の義経や「花筐」の帝といった成人の役柄もあります。能で子方を登場させる理由は色々なことが考えられます。
シテを引き立てる為、純真・神聖というイメージを役に与える為、
他にも、生々しい表現を避ける為と言われています。
© 2013 junseikai